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シホが変わったのは、二年に進級してからだ。それまでも周囲をまとめ、引っぱっていくような雰囲気はあったが、その引っ張り方が強引になった。
シホはアルトのパートで、アルトの二年生はほとんどシホの仲良しグループに取り込まれている。私とカオリはソプラノなので、シホのグループに入っていない。どちらかと言うと入りたくない。
私とカオリは中学時代からの絆で結ばれているし、二人だけでもやっていける。
ある日、シホが三年生の部長に、
「あさっての練習は個別チェックやりましょう」
と提案した。
あさっては土曜日なので、授業は午前中だけだ。午後、たっぷり練習時間がある。
個別チェックとは、部員を一人ずつ音楽室の隅のスペースに呼んで、歌わせる。
それを部長や副部長など部の中心メンバーが聞いて、発声や音程のずれ、それに歌っている時の表情などをチェックし、改善点をアドバイスする練習方法だ。その間、他の部員は歌詞を覚えたり、V字バランスなどの腹筋運動やストレッチ体操などの自主練習になる。
土曜日、シホの提案どおり、「個別チェック」をやることになった。歌を聞いてアドバイスする役には、三年生の三人に加え、アルトパートからシホ、ソプラノパートからは私が指名された。
私たちは面接官のような位置に並んで座り、一年生から順番に一人ずつ歌わせていった。ひとり歌い終わるごとに、五人が順に、気がついた点をアドバイスしていく。
一年生が全て終わり、二年生を順に呼んだ。
カオリの番になった。
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