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思考実験をする
さて、第八十九回目となる今回のお題は、「思考実験をする」です。
SFやファンタジーといったジャンルで一つの世界を描き出すことは、ある種の思考実験のようなものではないでしょうか。
社会は様々な人々の有機的な結び付きで成立しており、そこに足した架空の要素がどのような影響を及ぼすかを想像することによって、より説得力のある世界を書くことができる筈です。
とはいえ、かなりスケールが大きな実験なので、慣れない内はどうすればいいのか悩んでしまうこともあるかも知れません。
私の場合は、SF作品を読むことで思考実験のやり方を身に付けました。
SF作品で描かれる世界は、私達が生きているこの世界と地続きになっていますから、変化前の状態が明確な上、「新しい技術や理論が世の中をどう変えたか」が明示されていることが多く、その変化の仕方が勉強になるので。
ファンタジー作品は実在する国や地域をモデルにしていても、設定がふわふわしていたり、ある程度の知識がない方にはどこまでが事実に基づいているのか判断が難しいところがあるので、思考実験の参考にするならSF作品の方がベターと考えますね。
SF作品とファンタジー作品では登場する技術が大きく異なりますが、「新しい技術が生まれたら、それに伴って新しい法律が必要になる」といったところは同じ筈なので、物事の表層ではなく、人と人の繋がり方や人間の心理などに目を向けることで、十分応用は可能でしょう。
骨の髄まで文系人間の私でも、SF作品を分析しながら楽しんでいる内に、自然と論理的思考に馴染んで思考実験をするようになりましたし(ファンタジーを書く時だけでなく、ミステリーを書く時にも役立っています)、あまり構えずにチャレンジして頂けたらいいのではと思います。
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