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文学について学ぶ
さて、第九十一回目となる今回のお題は、「文学について学ぶ」です。
私は大学で国分学を専攻しましたが、芥川賞を受賞した円城塔さんの『道化師の蝶』を読んで、面白いと思うところもありつつも、恥ずかしながらあの難解な物語の芯を捉えられなかった程度の知能しかありません。
それでも「文学というのはこういうもので、小説はこういうことを書くものなんだな」とある程度は理解できているつもりで、その知識を多少なりとも物語に落とし込めるようになって、やっと新人賞の選考に名前が残れるようになってきました。
私が主に書いているのは、一般文芸とライトノベルの中間辺りに位置するライト文芸と言われるジャンルですが、純文学は勿論、一般文芸やライト文芸辺りを目指すなら、文学について学んでおいて損はないと思いますね。
純文学では最も外せないポイントとして文体がありますが、一般文芸やその周辺ジャンルではエンタメ性に加えて、程度の差はあれ、それなりの文学性がポイントになっていると思うので。
ミステリーやSF、ホラーといった特定ジャンルに特化した作品なら、そのジャンルの作品として優れてさえいれば、文学性はそこまで重視されないかも知れませんが、そうでなければエンタメ性だけで押し切るのはなかなか難しい気がします。
とある新人賞の選評で、審査員の作家さんが「キャラクターがただ喋って動いているだけの作品は、小説とは呼べない」というようなことをおっしゃっていましたし、純文学や一般文芸、それらに近いジャンルでは、審査員の皆さんや出版社さんにとっての「小説」の基準を満たす必要があるでしょう(ライト文芸辺りだと、レーベルによって求められる文学性にかなり差がある印象ですが)。
特に文学について学んだ経験がなくても、多くの本を読んだ経験から書くべきことをきちんと理解できている方もいらっしゃるかと思いますが、「小説とはこういうもの」と明確に説明できない方は、文学を学んで言語化を手助けしてもらうことをオススメします。
きちんと説明できないということは、要するに理解が不十分な訳で、そういうものはなかなか上手くは書けませんから。
個人的な経験から言わせて頂くと、文学だけでなく哲学や心理学、言語学といった学問も、文学とは違った観点から人間を見つめることができますし、いろいろと勉強してみると役に立つのではないかなと思います。
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