【おまけ】南海王は海亀を所望し候

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==========  そうと決まれば早いほうがいい。薬がどのくらいで効くのか、卵はどのくらいで出来るのか分からない。明日には浦島を陸に送っていく。陸と海を行き来できるのは亀だけだ。  南海王の寝所に移された亀は早速、小さな丸薬を手に乗せられた。 「これが、性別を一時的にひっくり返す薬ですよ」 「これが……」  こんな小さな薬で性別がひっくり返る。なんて恐ろしいものなんだ。手の上の薬をマジマジと見ながら、亀の喉がゴクリと鳴る。 「ほら、飲まないのですか?」 「の……飲みます!」  覚悟を決めて丸薬を口に放り込み、水を流し込む。簡単に飲み込めたそれに味などない。例えあったとしても緊張で分からなかっただろう。  飲み込んでみたが、しばらくは特に変化がない。疑問に思い自分の体をあちこち触っていると、突然腹の辺りがカッと熱くなり、思わず床に膝をついた。 「かっ……あっ、つい!」  腹の中が焼けるように熱い。痛みすら感じる熱に恐怖して腹を抱えて泣いていると、南海王が近づいてきて顔をクッと上げさせた。 「辛そうですね」 「うぅ……」 「腹の中が一番変化が大きいですし、即効性で一気に変わっていきますからね。でも、そろそろ治まりますよ」  言うやいなや、南海王は亀の履き物を綺麗に脱がせ褌も取り払う。そうして見た自分の下肢は、思った以上に衝撃で悲しかった。  通常時はそれほど大きくはないが、人の形を取れば一応はついている。なのに今はつるんとして何もない。しかも南海王が無理矢理足を開かせ股ぐらを撫でてニッと笑う。その意味を、亀も分かっていた。 「綺麗なアワビですね。当然ですが未使用ですし、色も形もなかなかです」 「み……見ないでください……見ないでぇ」  恥ずかしいやら悲しいやらで涙がぽろぽろ零れ落ちていく。雄の尊厳は大事なものだと思い知り、同時に浦島にしている仕打ちの非道さに顔も上げられなくなる。雄の身で子を産まされるなんて、よほど相手を好いていなければ心が壊れる。亀だって今は一時雌の体だけれど、心は雄のままなのだ。  「嫌だ」を繰り返ししゃくり上げる亀を見る南海王は、思ったほど楽しそうではない。むしろ少し悲しそうに眦を下げている。この人が強いている事なのに、なんだこの顔は。楽しませろと言ってここに連れてきたのはこの人なのに。  思わず睨むと、南海王は眉を上げ、次にスッと顔を近づける。思ったよりもしっかりと重なった唇は、程よい柔らかさで気持ち良かった。 「これが、発情の薬です。飲ませてさしあげましょうか?」 「飲ませてって……」 「勿論、口移しですよ」  もの凄く悪戯っぽい顔で言うが、とんでもない! 「そんな事をしたら貴方様まで発情するではありませんか!」 「おや? 亀が相手をしてくれるのでしょ?」 「しません! いりません! 自分で飲めます!」  南海王の手から瓶に入った薬をひったくり、栓を抜いて飲み干す。案外サラリと飲み干せて、ほんのりと甘い。陸の果汁でも入っているのだろうか。  そんな事を考えていた亀は、急速に起った体の変化に一瞬気をやり崩れ落ち、甘い痺れに腰が立たないまま熱い息を吐くことになった。 「あ……あぇ? ふぅ、うぅ……」  体が熱くて言う事をきかない。肌が敏感でたまらない。腹の奥がジクジク疼いて、それに伴い何かが産まれていく。臍の裏側辺りにゴロゴロしたものがいくつも作られている。 「始まりましたね」 「はぁ……あっ、つい……助け、て……」 「強制的に、しかも短期の発情ですからね。反応が一気に強く出ます」 「い、ぁ……あぐっ、くる、しぃ」 「腹の中でどんどん卵が出来ていますね。大体50くらいあれば足りますので、頑張ってください」 「50!! あぎ! あっ、はぁぁ」  腹の中が苦しい。食べ過ぎた時の何倍も苦しいし重たい。仰向けに転がったまま動けない亀の腹はどんどん大きく膨らんでいく。よくぞこんなに腹の皮が伸びるものだと驚いてしまうくらいだ。  その様子をしげしげと見ていた南海王は、何を思ったか近づいてきて更に亀の衣服を乱す。上半身の紐を解いて前を暴くと、ほっそりと綺麗な手で胸を撫でた。 「はひぃ! はぁ、だめ、おやめ下さい!」 「ふむ、女体薬を飲んでも胸はつるんぺたんですか。母乳で子育てをしないのだから当然と言えば当然ですが……雌の人魚は人化するとこれでもかと豊満なのですよね」 「ふひぃ!!」  とても疑問そうに高説をたれるが、同時に亀の胸を無遠慮に撫で、揉み、乳首を摘まむ。発情のせいか痺れるように気持ち良くてガクガク震えながら身もだえ喘ぐ事しかできない亀の腹の中では、その刺激で更に卵がポコポコとできている。  更に何を思ったのか、南海王は摘まんでツンと尖った乳首を突然口に含む。それだけでも衝撃だというのに、ねっとりと舌を絡めて乳首をこねくり、絡め、吸い付く。ビクンビクンと腰が跳ねて腹の中がカッと熱くなり、トロトロの愛液が出来たばかりの部分から溢れた。 「やはり出ませんか。妊娠みたいなものだから、もしかしたらと思ったのですが」 「は……はひ……ふっ、ふぅぅ」 「やはり性よりも魂の形を映すのでしょうね。魂は男だから、ここも膨らまない」 「も……もう止めてくらさい! 死にます! 死んじゃいます! お腹破裂してしまいます!!」 「おや、臨月のよう。ふふっ、よく育ちますね。ねぇ、亀や。ここで私がお前に挿入して、中にぶちまけたらこの卵は有精卵になって、育てば子亀が出てくるのでしょうかね?」 「恐ろしすぎる事を言わないでください!!」  そんな事になったら……怖い。怖すぎる! 人生終えたい! 亀生か? そんなのどっちでもいい!!  動けないながらもジタジタしている。すると急に腹の中がキュルキュルし始めた。徐々に腹が少し痛む感じもあり、動いているのを感じる。ビクッとしたまま動かず、徐々に顔色を悪くし浅い息を吐く亀に、南海王も動きを止めた。 「おや? 産まれますか?」 「ひっ! い……嫌だ……嫌です!!」 「産まれない方が困ると思いますが」 「嫌……怖い、怖いです……南海王様ぁ!」  卵は互いに擦れながら腹の中を徐々に下に向かって降りてくる感じがする。もうコツコツと入口を突きだし、今か今かと出待ち状態。硬く閉じた入口が産気づいた事で徐々に入口を開けようとしている。  更に痛みが激しくなり、とにかく中の物をひり出そうと下腹に力が入りそうになる。でも出ないのだから無駄で、耐えるしかない。そのあまりの痛みに腰が熱く溶けそうで、意識は朦朧としてきた。  助けを求められた南海王は少し思案して亀を床から移動させ、自分の寝台に上半身を乗せるように四つん這いにして、更に下には柔らかな布団を敷いた。そして、丸見えになった濡れる部分に指を突っ込み奥まで挿入すると、中をクニクニと刺激し始めたのだ。 「ひぃ! ふやぁぁぁ!」  ゾクゾクっと腰からせり上がる痺れ。そして腹がグンッと締まる感じ。痛みが増して早く出したくて、秘部からはダラダラと透明な液が落ちていく。  南海王は様子を見て立ち上がり、引出しから軟膏壺を取り出す。その中身を少量指に取ると再び挿入して、硬い入口にそれを塗りつけた。 「あ、あひ? ふっ! ふぅぅぅぅ!」  塗られた所が熱い、そして力が入らない。一気に柔らかくなった部分を卵が一つ通り抜け、ズリズリと内壁を擦って落ちていく。おぞましいが、同時に気持ちいい。それがまた亀を驚かせ、否定させた。 「ふぁ! ぁ、あ? あぁ! 出る! いっ、嫌だぁ……見ないでくださいぃぃ!」  腹に力が入って、卵が一つぬるりと下に落ちる。厚く柔らかな布団に落ちたそれを、南海王は摘まみ上げた。 「綺麗な形ですね。大きさもいい」 「ひぃ……ふぅ……ふぅ……はひ! ふぁあぁぁぁ!!」  一つ落ちればもう歯止めなどかからない。一つずつ入口を通って肉壁を擦りながら産まれる卵。それが狭い部分を通ってひり出される度に、亀は痛みとは違うものを感じて戸惑った。  痛かったはずなのに、それは徐々に薄らいできている。逆に敏感な内部をたっぷりと擦りながら生まれ落ちる刺激や、入口を通り抜ける時の感覚に腰骨は蕩けてしまい、足はガクガクと震えていた。 「だ……だめ……これダメです! 僕は雄なんですぅ!」 「おや、気持ち良くなってきましたか」 「ちが、ちがうぅぅ!」  ぽろ、ぽろっと卵が落ちる。2つ、3つ……10コも産むと痛みはなくなり甘い痺れが下肢を蕩けさせるようになる。腰が持ち上がらなくて布団に擦りつけるように卵を生み続ける亀を、南海王は嬉しそうな顔で見ている。視線を感じ、見られている事にまた快楽を感じて、戸惑いは深くて辛い。気持ちいい事に逆らえないが、雄としての矜持も捨てられないのだ。 「み、ないれぇ……卵産むの、見ちゃいられす……」 「呂律が回っていませんよ。気持ちいいのですね」 「ちが……気持ち良く、ないぃ!」  話している間も卵がどんどん出てきて、段々と布団の上に山を作っていく。南海王がそれを抱えて別の器に入れていくが、徐々に産む早さは加速していく。一つずつだがツルツルと滑り落ちるくらいになっていて、亀は下肢に流れる甘い疼きにもう逆らえなくなっていた。 「ふっ、ふぇえ、あぐ、いぃ……も、痺れるよぉ……はぁ……気持ち良く、なりたく無いのにぃぃ! はぁ……止まらないよぉぉ!」 「うーん、淫靡で困りますね。可愛いお前が涙を流してヒンヒン言いながら卵を産むのはこんなにも欲情を誘うのですね」 「そん、なぁぁ! こと! 関心しな、いぃぃぃ! で、くださいよぉぉぉぉ!」  この人やっぱ嫌いだ! 意地悪で鬼畜で何考えてるか分からなくて加虐癖で変態で!!  腹の中が大分軽くなってきた。だが、まだゴロゴロする。腹の中がキュゥゥと締まってきて、ジンジンしている。疲れてきたのに終われない。全て出し切るまで許されない。 「も……疲れた…………も、産みたくないぃぃ」  ポトリと、また出てくる。後どのくらい残っているのだろう。とにかく必死に産むことだけに専念して終わらないと、腰が抜けてしまう。  約1(4cm)の丸い卵がドンドン出てきて、腹はぺたんと凹んだ。山盛りの産みたて卵の器が5つくらいある。どれだけ産んだんだか分からない。 「貴方、多産ですね。50くらいあれば十分だと思っていましたが、80は越えていますよ」 「う……嬉しくな、いひぃぃぃ!」  またポトリ。本当にいくつ入っているんだ!  でも徐々にせり上がるようないきみも治まってきて、終わりを感じた亀は、だが最後だろう卵が入口に引っかかって顔を青くした。どうやらその卵は他よりも大きいみたいで、柔らかく弛緩した入口をギリギリで通らない。いきんでもダメで、どうしようもない。  亀のその様子に気がついた南海王が近づいて、熟れてぬるぬるの秘部にズブリと指を差し入れる。そうして引っかかっている卵を確認すると、一度指を抜いた。 「亀や、お前は鶏かなにかですか? 随分大きなのが腹に引っかかっていますよ」 「ひ、かかっていますよ、じゃないぃ! でない……出ないですぅ。お願い、出てぇ。産ませてぇぇ」  脂汗を滲ませて必死にいきんでも出てこない。つるんと腹の中に戻ってしまう。これ、このまま出てこなかったらどうなってしまうのだろう。  不安にエグエグと泣く亀を見て、南海王はしばし考える。そしてぬるりとした液体で自らの手を汚すと、それを一気に亀の肉壺へと埋めてしまった。 「あぐぅ! うっ……あぁぁぁ!!」  腹の中で手が大きく開いて入口へと到達し、狭い部分を指で押し広げていく。焼けるような痛みに目の前がチカチカして歯の根が合わずにガタガタ歯が鳴る。ブルブル震えたまま、南海王の指が出かかった最後の卵に触れた。 「一気にいきみなさい!」 「はぁ、はひぃぃぃぃぃ!」  無理矢理広げられた入口が痛い。多分裂けた。でもおかげで詰まっていた卵がつるんと滑り出て、南海王の手で外へと出される。本当に、鶏の卵くらい大きかった。 「よく頑張りましたね」 「お、なか……いたい……」  意識が消えそうなくらいぐったりで、全部に力が入らない。崩れるように倒れた亀の腹に外側から触れた南海王の手が温かくなってくる。 「……ぁ」 「この程度なら私の力で癒やせますから。少し血が出ましたね。具合、どうですか?」 「あ……たかい……」 「眠りなさい、起こしてあげますから」  体が温かくなって、眠くなってくる。そのまま気絶するように眠った亀は、夢も見ないほどに落ちていった。
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