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時間が過ぎるのはあっという間で、気がつけば太陽も傾き始めていた。4人はベンチに並んで座っていた。そこは老人が眠って(放屁して)いた場所だった。
「今日はとっても楽しかったわ」
アリアの白い顔は夕日を映し赤く輝いていた。3人も口々に同意の言葉を述べた。
「また、たまにでもいいから、遊びに来てくれないかしら」
遠慮がちに言うアリアの目が、様子をうかがうようにこちらを見ていた。
その言葉にすぐに答えを返せないことが、3人はたまらなく悲しかった。アリアの笑顔がだんだんと寂しそうに変わっていくのを、プンスターはこれ以上我慢していることができなかった。
「実はおれたち未来からやって来たんだ」
「え」アリアは驚きのあまり、一瞬言葉を失った。「そんなことができるの?」
「うん。未来の世界では、誰でも未来や過去を行き来できるんだぜ」
「ええ?なんて素晴らしいの。そういえば隣の国ではそんな研究をしているって前にお父さんが言っていたかもしれないわ・・・それはそうとして、誰でも行き来できるなら、またいつでも来れるのね?」
アリアは再度、力を込めて言った。
「いや、色々と決まりがあって、いつでもってわけにはいかないかもしれない」プンスターはそう言いながら、アリアが悲しそうな表情をするのを見た。「・・・でも絶対また来るから」
3人はアリアと固く約束をした。
「ああ、そうだ」
ようやくミリーは老人から頼まれていた貝殻の腕輪のことを思い出し、照れ隠しをしながらアリアの手首につけてあげた。
「わたしたちをここに送ってくれた人が、これを渡してくれって。きっとアリアのことだと思うから」
「これってもしかして、貝殻?うわあ、きれい。わたしずっと海に行ってみたかったんだ。ありがとう。これで、海に行けなくっても、海にいる気分になれるわ」
アリアは心から喜んでくれているようだった。果たして老人はこのことを知っていたのだろうか―きっとそうだとプンスターは思った。
「じゃあさ、今度来た時はみんなで海に行こう。今度はアリアのお父さんもつれてきてあげるよ。アリアが知っているよりもだいぶお爺さんになっちゃっているかもしれないけどね」
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