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紫音は少し、いやかなり変わった娘で、みんなは距離を置いていた。
「志垣詩乃」と「四之宮紫音」でしょ。そこに紫音の怖さと私のノーフューチャーぶりが手伝って、『死の番人コンビ』とか『死ね死の団』とか呼ばれてたわ。半分虐めなのに、紫音は面白がってたっけ。もっとも紫音は無意識に危険な匂いを発してるから、面と向かって虐める奴はいなかったけどね。アレよ、矢毒蛙とかの警告色みたいなもん?違うか。はは。
紫音はお葬式で私の髪を食べた、って噂でますます引かれたけど、違うんだよ。
紫音は確かに私の髪を数本引き抜きやがったけど、食べてない。私の顔を抱きしめて頬擦りして、髪が口に入るほどの勢いで大泣きしたの。
ただ1人だけ、私の死に取り乱してくれたの。あんなに感情を露わにした紫音は初めてだったな。
元々エキセントリックな娘だし、周囲が引くのもわかる。でも私は本当に嬉しかった。そして後悔した。何で私、一番大切な人を泣かせてるんだろうって。
…なんて思ってそれから半年。私は自殺の原因のクソ野郎…田坂をサクッと呪い殺したり、時々半笑いでポルターガイストを起こしながら、元の生活圏をうろついてまーす。
私霊魂だけどこの世に恨みなんてないし、気が向いた時に遊んでるだけ。だからあそこの電柱にいる、粘着系地縛霊のおっさんとかと一緒にしないでね。普段から用心してるから、出ると有名なコンビニのオ◯ソン付近でも撮られてないはずよ。
実は霊魂にも体調があるの。体はないのに体調ってね。あはは。あれ?ここ笑うとこよ?
で、今日は不思議にいい気分で、これなら生きてた時みたいに散歩もできるんだ。
ここ。紫音と2人で通ったコンビニ。オー◯ン。出ると噂なだけあって本当に霊まみれだ。かわいそうに、背中が切り刻まれて犬を連れた女の子も見えるわ。
近くのホムセンを左に曲がって、10分ほど歩くと紫音の家。遊びに行ってもあの娘はあまり喋らないの。でも楽しかったな。相当なコミュ障なのに、よく田坂みたいな奴に近づいたもんだわね。危ないったらないわ。
ま、そこは紫音。奴が変なことする前に退治したのは見事だったし、私がその後に奴を呪い殺したから、紫音は私みたいな目に遭うことはないの。うふふ。
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