後ろの理解者・ep.4

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後ろの理解者・ep.4

 私、志垣(しがき)詩乃(しの)。年齢は…死人には関係ないよね。享年なら19よ。医大生だったけど今はなりたてのフレッシュ霊魂!…すいません調子乗りましたほんとすいません。  くっだらない男に引っかかって自殺しちゃったの。ううん、全部自分のせいだよね。でもなんだかね、弄ばれて心も体もボロボロになって、もういいや終了、って。  屋上からフライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(笑)の途中で意識がなくなって、地面に叩きつけられた感覚も痛みもなかった。とはいえ体から抜けて、地べたでグッチャグチャになってる自分の体を見たら寒気がしたけどね。私霊魂だけど。  医者の家系に生まれた私は4人きょうだいの末っ子で、上はみんなお医者さん。当然私も医者にと両親は猛教育した。心底嫌だった。だって私だけ頭悪いしさ。みんな私を笑ってたじゃない。こんな馬鹿に医者は無理って言ってたじゃない。  裏口の話まで出たけど、私は自力で医大に合格したよ。でも誰も褒めてくれなかったね。  毎日息苦しくて、高校では派手に遊んだ。私は多少容姿が良かったらしく、なんとなくカースト上位だった。親の見栄なのかお金だけはいっぱいもらってたから、みんな私についてきたよ。  居心地良かった。初めて認められた気がした。わかってたよ。わかってたけど、そんな上っ面の仲間でも私には必要だったんだ。  でもね。私が死んでから。それからの日々の方がむしろ問題。  私のことを思ってくれるのは、その仲間には1人もいなかったと知った。そればかりか「金づるどうする?」とか「体は良かったよなあの女」なんて、ふざけた声が聞こえてくる。あいつら…呪ってやろうか。ふふ。  でもね。私が死んで本気で泣いた人が1人だけいるんだ。家族でさえ厄介払いできたみたいに安堵してた中で、たった1人だけ。  それが紫音。高1から同級生だった四之宮(しのみや)紫音(しね)。  紫音は暗くて怖くて、軽薄な私と正反対なのに何故か気が合った。紫音といる時は、キャラを作って鎧を着る必要がなかったの。
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