君はいない

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 ――でも、私は無理だった。  別に悲劇のヒロインぶりたかったわけでもない。  悲しまない周りがむかついたわけでもない。  ただ、本当に  笑えなかった  そんな私の心情を唯一知っているのが、友達が好きだった貴方だなんて、なんか皮肉だよね。 「大丈夫か?」 「大丈夫だって」  尋ねてくる言葉に嘘を吐く。そばに来てくれる貴重な存在を跳ね除ける。それが他の人にとって感じが悪く見えるとわかっていても、どうしようもない気持ちをどうにかすることなんて出来なかった。どうしようもないから、コントロールできないから、私は顔を上げれないんだ。視線を合わせぬまま答えてるのに、貴方の視線が突き刺さるのをどこか感じて、居たたまれなさで私は自分の腕をさすってひたすら視線を逸らし続ける。    友達の好きな人の優しさに甘えて飛びつきたくなる、なんて、したくないんだ  貴方が近づくと私は罪悪感で胸が締め付けられる。  もう友達は大好きな貴方に触れたり、会話したり、笑ったり。  もう何もできないんだ。  だから、ごめん。  近づかないで。
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