君はいない

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 優しい彼を突き放す私に近づく女子は、いなかった。  なんか、1人が好きなんだろう、て思われてたみたい。    こんなに寂しがり屋なのにね。なんでだろね。でも、自分から仲良くしようっていうのはやっぱり出来なくて、誰かが来てくれないと私はやっぱり動けなくって――    ああ、なんて面倒くさい人なんだろう、私。  そりゃ、誰も近づかないよね、近づきたくないよね。  こんな面倒くさい私を受け入れていたのは、いつも私の手を引いて「あっちで二人で喋ろう」って笑ってくれた友人だけで――――っっ 「待てよ」  その言葉に耳を塞ぎながら私は近づいてきた彼から離れた。  近づいてきたのはなんとなくわかっていた。足音が聞こえたから。顔を伏せていても貴方の足音だけはわかる。友人が「特徴的だよね」て笑って教えてくれたから。友人がアンタの話ばかりするから私まで覚えてしまった。  駆け足で教室から出た。  幸い、文化祭間近の校内は慌ただしいから、駆け足でも誰も気に留めない。    ――だけど  どこへ行っても人が行きかっているのは、何故か一人ぼっちだという気持ちを増幅させた。  その喧騒が五月蠅くて。  何故だか凄くつらくて。  なんだか嫌で。  物凄く泣きたくなって。 『私は世界で一人だ』    別にそんなわけじゃないのに、そう思わされて。そして友人が亡くなった時に過った()()の気持ちを思い出して、私は唇をぎゅっと噛む。  授業時間以外の全てが苦痛な日々なのを少しでも緩和したくて、私は足を動かした。      
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