君はいない

1/9
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

君はいない

 友達が、先日亡くなった。  どうしようもない、不運な事故だった。  実感がわかないぐらい突然で、私はその(しら)せを聞いた時は呆然としていて涙も出なかった。  でも、黒い額縁に入れられた友達の写真を見てようやく実感がわいて。  涙腺が壊れるほど泣いた。  喉が掠れるほど泣いて、目が腫れるのもお構いなしに目をこすって。  気づいたら母の車で寝ていた私は、制服のスカートの上に置いていた携帯の振動で目を覚ました。  画面を開くと目に入ったのは 『大丈夫?』  淡白だけど、温かさが伝わってくるメッセージ。  亡くなった友人(あの子)の好きな人からだった。  大丈夫、と返したかったけど。  気持ちの整理のつかない私は返信なんて到底できなくて、そのまま画面を閉じた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!