2.いびつな兄妹、いびつな家族

5/13
前へ
/46ページ
次へ
 母は病気で亡くなったと私に伝えたが、それは嘘だと子供ながらに勘付いていた。父はこの世界の何かしらに絶望し、自らで命を断ったのだ。  葬儀から三年後。母の再婚から新しい家族となった義父とサクが、私たち親娘を守る存在だと感じるようになった。  何を考えているのかは分からないけれど、温厚で優しい義父と、大好きなサク。私と母の大切な家族だ。 「美紅、それ何?」 「……え?」  不意にキッチンから母の声が飛んできた。目はテレビに向いていたので、若干反応が遅れる。  母は自分で確かめた方が早いと感じたのか、私のすぐそばまで歩み寄り、ローテーブルに置いたままの箱を持ち上げた。  サクが置いていった差し入れのシュークリームを無表情に見つめている。 「あの子、また帰ってきてたの?」 「あ、うん。私は食べたから、後はお義父さんとお母さんの分だよ」 「ふぅん」と呟き、母は箱ごとそれをゴミ箱に持って行く。バサっと音がして、途端に嫌な気持ちが広がった。  サクと母はある時から馬が合わない。血が繋がらないとかそういう理由からじゃなく、原因はにある。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加