第一話 正歴一八一七年九月(果実月) 秋の夜会を君と(改稿版)

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     ※  連れ立って主室に戻る。  いつの間にか午後の雨は止んでいたようだ。窓から秋の夕刻の日の光が柔らかく差し込んできていた。  季節は異なるはずなのに既視感を覚える。 「ラル。久しぶりに君のピアノを聴きたいな」  最初にオリヴィエの心を奪ったあの音色。  窓を見つめながら洩らされたオリヴィエからの依頼に、ラウールは小さく笑った。 「長らく鍵盤に触れていない。……もう、なまっている」 「いいよ。君の音が聴きたい」 「だったら、練習から付き合ってもらおうか」 「うん。望むところだ」  顔を合わせ笑いあう。  そして自然と唇が重なった。  この先。  二人で歩む時間は、これまでよりもきっと長い。      第一話 秋の夜会を君と ー了ー
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