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オリヴィエと身体を重ねる快感は、他の何にも代え難い。
その快感よりも重要であるのは、性交によってオリヴィエの精液をこの身のうちにもらうことだった。そのためであれば、たとえ彼と身体を重ねることによってどれだけの苦痛を得るのだとしても、自分の選択が変わることはない。
とはいえ、それでもやはり苦痛はないほうがありがたい。そして彼に抱かれこの上もない快感を味わうことができるのは純粋に嬉しい。
傍らで眠るオリヴィエに目をやる。
ラウールを腕に抱き、横を向いて寝る彼は、今日もまた半開きになった口許からよだれを垂らしていた。昨日は彼にとっても衝撃的な出来事が多く発生したのだ。彼が熟睡していることは重々理解できた。
ラウール自身はというと、熱も下がり、飢え感じること以外すこぶる快調だ。彼が傍にいてくれる。それだけで安らかで充足に満ちた眠りを得られた証拠だった。
自分の目覚めは良かった。だからといって、夏の日も昇らないまだ朝早きこの時刻に、熟睡するオリヴィエを起こすのは無体なことだろう。ラウールは、あえてその事実に目を瞑ることとした。
手を伸ばし、眠る彼の肩を揺らす。
しばらく揺らしてみたが、よほど深く眠っているのかオリヴィエが目覚める兆しはなかった。
ラウールは手を止めて少し考えると、今度はオリヴィエの鼻をつまんだ。
「んあっ!」
小さく声を上げ、オリヴィエは身体をびくつかせた。
「な、なに?」
目覚めたばかりの掠れ声が、驚いた調子で言う。何故かその様子に満足を感じ、ラウールはオリヴィエの鼻から手を離しながら微笑した。
「おはよう、リーヴィ」
目を白黒とさせていたオリヴィエだが、口許を手の甲で拭うと息をついた。
「おはよう。君がこんな悪戯をするとは思いもしなかったよ、ラル。どうかした?」
「君が欲しい」
素直に欲求を口にして、ラウールはオリヴィエに近づいた。
彼の胸元に頬をすり寄せる。そして手を、彼の寝間着のズボンにするりと滑り込ませた。
オリヴィエがびくりと身体を硬くする。
そんな反応を楽しく感じながら、ラウールは指先で彼のペニスに触れた。下着の中で、それはもう半ば以上勃っていた。
中指の腹で裏筋をつぅっと撫で上げる。途端に緊張を解いたオリヴィエが息をついた。白檀の香りが濃度を上げる。
口を開き舌を出してキスを求める。すぐに唇は塞がれた。
オリヴィエによって心身共に満たされる。ラウールはその幸福を骨の髄から実感するのだった。
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