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   オリヴィエの代わりに、彼女がてきぱきとラウールが身体を清めるための用意を行う。  ジョルジーヌが用意した湯とタオルで、オリヴィエがラウールの身体を拭いている間に彼女は続きを話した。 「先ほどお二人のお話を伺った時ー、ラル様はリーヴィ様とー」と、ジョルジーヌは両手の人差し指を立ててくっつけた。  呼び名については、この先彼女には非常に世話になる。そのことから、ラウールのほうから愛称で呼んでもらうことを提案した。オリヴィエもそれに倣った。  この提案を告げた時、目を見開き頬を紅潮させたジョルジーヌは、比喩ではなく実際にしばらく部屋の中をくるくると踊っていた。その際、呪文のように何かを言っていたようだが気にしないことにした。  ラウールはイレーヌの慧眼に厚い信頼を置いている。彼女が人選したジョルジーヌに間違いはないと思っていた。その時の彼女の行動も、彼女の個性的な感情表現に過ぎないと判断した。彼女が母から依頼された任を果たしてくれるのであれば、何の問題もない。  そして彼女は十分にその能力を持っていた。 「ご一緒することと食欲の相関性についておっしゃっていましたねー」 「うん。今の僕にとって、リーヴィとの性交が食事の代わりになっているのではないかと推察している。一昨日の午後から、ほとんど食べ物を口にしていないのに、今も空腹は感じていないからね」 「でも今朝は、昨日よりも多く食べられたんだよね」 「そうだよ。小さな変化だけれど……。今後の僕の食事量を記録していくことによって、僕の身体の状況を計れるのではないかと思っている」  ラウールとオリヴィエのやりとりを聞きながら、ジョルジーヌは大きく頷いた。 「ラル様のお考えのとおりー、お食事の量と回数の記録を取ることは私も大賛成ですぅ。あとはそれに加えてー、『発作』の回数についても記録をつけて参りましょうー」 「……なんだかそれは、恥ずかしいね」  今度はオリヴィエが小さくぼやく。  しかし本職の看護師が提案する方法に間違いはないだろう。  拭き清められた身体に清潔な着替えを身につけながら、ラウールは笑った。 「僕の症状が落ち着くまでの間だよ」 「リーヴィ様ー、ラル様の本復のため、わたくしめも一緒に邁進してまいりますぅ。ですので、ここは是非ともご協力をー!」  勢いよく片手を上げたジョルジーヌにオリヴィエも結局は笑ったのだった。
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