言い訳

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どこから始めればいいだろう。始まりと言ってもたぶん僕は君と初めて目が合ったときから君に魅かれていた。なら君は?君はいつ僕に気づいたのだろうか。 君の周りにはいつだって沢山の人であふれていて、僕はその君の取り巻きの外にいて君を眺めていただけだったのだから、君は僕なんか気にも留めてもいなかったのだろうと思う。だからあの日、あの雨の日に君と教室で二人になったときに君が僕の名前を覚えていてくれたことが僕にはとても嬉しくて、そして驚きだった。 君は雨に濡れて、珍しく一人でそして美しかった。教室で窓の外をぼんやりと眺めていた僕は、突然のドアが開く音に振り返ると雨に濡れた君がいて、そしてそこに僕がいることに驚いた君は僕の名前を呼んだ。あの時、あまりにも突然すぎて僕は僕の名前を呼んだ君に何と答えたか覚えていない。 君はあの時を覚えているだろうか。 僕はあの時から君のことしか見ていない。もし君にこんなことを言うと君は僕を怖いと思うに違いない。それでもまだ僕のそばに君はいてくれるのだろうか。
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