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「とにかく。ここでくすぶっててもどうにもならん。腹ごしらえしてから策を練ろうじゃないか」
囮捜査用のホンダ・アコードに乗りこんで、ロサンゼルス市警察本部を後にした。
サンタモニカビーチ近くの安めの軽食レストランで、パスタとピザを頼んだ。
食事を終えた俺は、トイレに立った。鏡の前にしばらく立っていると、スミスに対する怒りも和らいで来た。すっきりしてテーブルに戻る。腹ごしらえも済んだから、俺たちは店を出た。駐車場へ。奇妙だ。ホンダのドアが開いている。
「おいジャック。何でクルマのドアが開いてるんだ」
「俺が知るわけないだろ」
「おまえ、ドアロックしなかったのか」
「したさ」
「だったら何でドアが開いてるんだ」
ホンダのダッシュボードを開いてみた。
一万ドルの入った封筒が消えていた。
「何てこった。カネがないぞ」
よりによって警察車両を荒らすなんて、とんでもない窃盗犯がいたもんだ。
「なあ、ロニー。もっとよく探してみてくれよ。座席の下にでも落ちてるんじゃないか」
「だったらおまえが探してろ」
俺はつい今しがた出て来たばかりの店に駆け込んだ。肥満体の金髪ウェイトレスに身分証を見せた。
「ロサンゼルス市警察だ。責任者を呼んでくれ」
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