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長女・満代(40)もまた金がなかった。
彼女は女子短大を卒業してまもなく、結婚した。相手は地元の企業の社長で、そこそこ裕福な男だった。ちなみに夫との間に子供はいない。高額な不妊治療もやってみたが、ついに子供が出来ることはなかった。ちなみにその費用は、半分は父親に出してもらっている。
満代はそもそも見栄っ張りな女だった。身の回りのものを高級品やブランドもので固め、自分を飾り立てるのが好きだった。
服やバッグ、アクセサリーに靴。毎年新作が売り出され、一目見れば欲しくなる。これを身に着けるには、自分自身も若く美しくあるべきだ。エステや化粧品も欠かせない。
もちろんそれらの品は相当の値段になる。クレジットカードを使って支払いをしているが、毎月限度額ギリギリだ。おかげで夫に小言を言われてしまった。愛する妻がいつまでも若く美しくお洒落であることの、何が気に入らないのかしら?
とにかく、欲しいものは後から後から出て来る。しかしクレジットカードの用途は、今は夫に事あるごとにチェックされていた。父親の遺産が入れば、それは私自身の財産になる。これなら大っぴらに使える。何とかして、もらえるものを最大限にもらわないと。
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