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エスカレーターを降りると、そこは女子高生でごった返していた。
制服、制服。こっちも制服。
ブレザーが多いからセーラー服に目がいくのか、彼女の元々の魅力であるのか、蕾はとても目立つ。
さらさらの真っ黒の髪の毛は、一体どうなっているのだろう。
「ふふ、聖那様」
蕾が柔らかく笑う。
「蕾の髪の毛は、人工頭皮です。本当の髪の毛と同じように、生えているんですよ。長さも切らないと伸びるんです。神林教授自慢の髪の毛です」
えっ?
すごい…普通に凄い。
そんなことが出来るんだ…化学の力ってヤバくないか?親父って一体…
俺は死んでしまった父親に多少慄きながら、蕾の服を探していた。
「どんなのがいいのか…全く分からないな」
ウーンウーンと俺が唸っていると、蕾からまた、ピピッ…と、例の音がする。
「情報確認中。…分析完了」
蕾は、俺の手を引っ張ると歩き出した。
「聖那様、あちらです」
そこには、シースルーの布が付いた、アイボリーのブラウスがあった。
「まずは、これ…」
更につかつかと店の奥へ入る蕾に、俺は着いていけず足取りがしどろもどろだった。
蕾が手にしたのは、水色チェックのプリーツスカート。すると店員が話しかけてくる。
「ご試着、如何ですか、カレシさん?」
「お、俺…か…」
彼氏さんなんて呼ばれたことの無い俺は、顔を作れず引きつった。
「試着して参りますね」
蕾はそのまま、店員に案内され試着室の中へ消えた。
…。
大丈夫だろうか?
洋服、着れるのかな…
心配…
俺はすぐさま、試着室の前で言う。
「蕾、大丈夫?」
「…大丈夫です、聖那様。蕾はお着替えくらい出来ますよ」
うふふ、と可愛い笑い声がして、俺の顔は真っ赤になった。
「心配なんですか?可愛い彼女さんですもんね~」
金髪ショートにリングピアスをした、化粧の濃い店員がクスクス笑っている。恥ずかしい…
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