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別れ道
前を向かないといけない。
振り返れば、大きな一歩を歩めないからだ。
私は、君を信頼していた。
言い換えれば、依存していた。
自覚している。
だからこそ、私は君とは違う道に進む。
泣いてはいけない。
泣いたら、引き留めてしまいそうだ。
私が選択したことなのに……。
だから、いつもの分かれ道で別れる前に心の中で呟く。
「行きたくない」
そんなことは言えない。
私は私が決めた道に。
君は君の決めた道に。
当たり前のことなのは分かっている。
だから、最高の笑顔で言う。
またね。
そっと、心の中で元気にしていて。
いつもの別れのように明日会えるわけないことはわかっている。
いつの日か忘れたけど、君は、教えてくれたね。
またねは会うための約束のような気がするのだと。
だから、言うのだと。
その時は、ふぅんとしか思わなかった。
今、理解した気がする。
なぜ、いつも君が言うのか。
そんな話を今、思い出すのかわからない。
それでも言わずに入られなかった。
いつか、逢うために。
そんな風に想いを込めて言い、私は別れ道を走った。
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