序文

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序文

 魔導書(グリモリオ)――それは、この世の神羅万象に宿る悪魔を召喚し、彼らを使役することで様々な事象を想い通りに操るための技術書……。  聖暦1580年代末。海の向こうに未知の大陸〝新天地〟を発見し、世界屈指の大帝国となったエルドラニアは、プロフェシア教(預言教)の奉じる唯一なる神と教会の最高権威〝預言皇〟の名のもと、魔導書の自由な所持と使用を人々に禁じ、悪魔の力を独占することで権勢を欲しいままにしていた。  だが、そんな世界の秩序に反旗を翻し、帝国の船より魔導書を奪っては、写本を作って密かに流通させる海賊がいた……彼らの名は〝禁じられた書物を開ける秘密の鍵――禁書の秘鍵団〟という。  これは、そんな彼らがエルドラニアの護送船団が運ぶ希少な魔導書『大奥義書(グラングリモア)』を見事、強奪した後の話である……。
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