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帰宅した僕は、話したいことがあると伝えて家族皆をリビングに集めた。
「宝くじのことだけど、使い道決めたんだ!」
僕が話を切り出すと母が待ちきれないようで、
「それでどうするの?」
と質問してきたので僕は正直に答えた。
「今日、社会福祉協議会に行ってきたよ!
僕は宝くじの当せん金全額を社会福祉協議会に寄付するよ!」
この言葉に驚いた父が、
「何を馬鹿なことを言ってるんだ。
寄付する必要はないだろう!」
と僕のことを怒鳴ってきた。
「そうよ、何も寄付することはないでしょう!
家族皆のことを考えて決めてって言ったでしょう!」
と母も怒鳴ってきた。
すると祖母が助け船を出してくれた。
「優志が決めることになったでしょう!」
さらに祖母は僕に問いかけてきた。
「優志は何故寄付することにしたんだい?」
僕は少し言葉を選んでから発言した。
「宝くじが当たってから、僕の家族は喧嘩するようになった。
今まで仲が良かったのに、僕が宝くじを当てたばかりに家族の仲が悪くなった。
皆自分勝手な都合の良いことばかり言って、家族のことを考えなくなった。」
僕が発言すると家族皆が黙り込んでしまった。
僕は生前祖父から、
「優志、お金は大切なものだけれど、必要以上に大金を手にすると人は不幸になるものだよ!
大金を持っていると悪い人に狙われたり、遺産相続なんかで家族で取り合いになったりするからね!
お金はあるに越したことはないかもしれないけれど、お金がなくても人は幸せになれるよ!」
と言われたことを皆に伝えてさらに、
「僕は今までのような仲の良い家族を取り戻したい!
家族のためを思うなら、このお金はなかったことにして困っている人のために寄付をして役立ててもらうのがいい!」
と僕はいつになく強い口調で正直な思いを家族に訴えた。
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