お金より大切なもの

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僕の名前は『和久 優志(わく ゆうし)』、高校2年生で野球部に所属している男子だ。 僕の家庭は、祖母、父、母、中学3年生の妹と自分を入れて5人家族で、祖父は2年前に天国に旅立っている。 父は建設会社の会社員、母はスーパーのパートで働いていて、決して裕福な家庭ではないけれど家族は仲が良くて笑いが絶えない明るい家庭だ。 少し風がひんやりとしてきた10月、二学期中間テストを終えたこの日は部活がなく、僕は帰宅する途中でハロウィンジャンボ宝くじを販売している宝くじ売り場を通りかかった。 今まで僕は宝くじを買ったことがない。 でもこの日は何を思ったのか急に宝くじを買ってみたいと思い、お小遣い5000円を持っていた僕は連番で10枚3000円分のハロウィンジャンボ宝くじを衝動買いした。 僕はこのハロウィンジャンボ宝くじを学生かばんに大切にしまい込んで帰宅し、自宅に帰ってから家族に宝くじを買ったことは話さなかった。 ハロウィンジャンボ宝くじの抽選日は10月30日だが僕はこのことを忘れていた。 11月に入って部活を終えて帰宅し自室にいた僕は、ふとハロウィンジャンボ宝くじを買ったことを思い出して、パソコンを使ってインターネットの宝くじ公式サイトで当せん結果を見ることにした。 まず当せんすることはないだろうと思いながらも、なぜかワクワクする不思議な感覚を覚えながら当せん結果を確認した。 ハロウィンジャンボ宝くじの当せん番号案内では、1等、1等の前後賞、1等の組違い賞、2等、3等と続き、6等まで発表されていた。 さっそく1等の番号を10枚の宝くじから探してみると、6桁の数字が一致しているくじを見つけた。 まさかと思いながら組を確認すると2桁の数字が一致していた。 番号の最終桁が「7」で連番で買った僕は、1等の前後賞も当せんしたことになる。 1等の当せん金額が3億円、1等の前後賞の当せん金額が1億円のため、僕は5億円当せんしたことになる。 僕は思わず嬉しくなってリビングに行ってテレビを見ている父と母に、ハロウィンジャンボ宝くじの1等と1等の前後賞合わせて5億円が当せんしたことを話した。 すると母が信じられないといった表情で、 「優志、本当なの?  凄いね!」 と言葉をかけてくれた。 我が家のリビングは大きな笑い声で溢れた。
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