1-1.龍雲

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1-1.龍雲

 龍が雲の姿で現れるとき、空が真っ青、なんてのは間違いだ。 正確に言えば済んだ水色だ。ムラなく、水色のスプレーを大空いっぱいに 塗装した感じ。 そこに切れそうな白い雲がなん筋か、掛かっているような状況だと 龍に遭遇しやすい。 雲の姿を借りた龍に。   04755eab-935a-45ae-88f5-f48f70957afb  この画像は2013年に愛知県岡崎市にある岡崎城で私が撮影したものだ。 画面中央の屋根の上を右肩上がりに上昇する雲が確認できると思う。 天に上る龍の姿で。  「龍雲」。龍が雲に乗って昇天する様をいう。 雲はあくまでも雲だ。成分分析すれば、ただの水だ。そこに大気中の窒素や酸素が混じる程度のものだ。 逆に、その単純明快な性質がゆえに、神の遣いと称されるスピリチュアルな存在の龍が、仮の姿を現すための素材としては最適なのかもしれない。  参考までに岡崎城と言えば、徳川家康ゆかりの城。 別名「龍城」と呼ばれる。 その由来となったのが、画面中央の薄緑色の小さな屋根。 井戸なのだが、龍神が現れた際にこの井戸が噴出した、という。 それ故に、この井戸は「龍の井」と呼ばれている。
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