6人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◆◇◆◇
「ちょ、激し……っ」
何度も肌がぶつかり合う音と女の甲高い嬌声が響く。
やがて日も暮れる、そんな時間帯。
外には甲冑を着込んだ戦士たちがいるとわかっているのに、男は激しい律動を止められずにいた。
もうやめてくれと懇願する女に構わず腰を打ち付け、誰に聞かれ咎められようと、構わないとさえ思った。
欲望に身を任せる以外、自身の気持ちを紛らわす術を――今の彼は持っていない。
「もう、……やっ」
びくり、と女の身体が跳ねて男は追いかけるように果てた。
女の艶かしい身体に自身の汗が滴り、男は我に返る。
「……わるい」
「やめてよ。気味悪い。どうしたの、戦いの時から様子がおかしいわ」
涙の跡が残る目元を拭い、女――ジスは胸元に縋りつくようにしている男の髪を撫でた。
硬そうに見えて、その実繊細で柔らかい。まるで男そのものな髪を。
「ねえ……ルカ?」
「……なんでもない」
武族長のひとり息子である彼は、いつからか幼馴染のジスと身体の関係があった。
恋仲ではなく、きっかけはただの好奇心からだったが身体を許しているからこそ互いになんだって打ち明けてきた。
けれど今日の彼は明らかに何かを抱えているのに、口を割ろうとしない。
宿敵である神族との命を懸けた戦いでぼうっと呆けていたり、何かを堪えるように唇を噛み締めたり。
揚句の果てに、敵である神族を庇いもした。
今日だけで、何度命の危険があったかわかったもんじゃない。
「ねえって――んっ!」
もう喋るな、とでも言いたいのかルカはジスの口を塞いでその咥内を蹂躙した。
最初のコメントを投稿しよう!