私3

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私3

私はおばあちゃんの話を聞きながら、くすっと笑ってしまった。 おっちょこちょいなおばあちゃんが一人ならず二人も出てきて。もう答えはわかりきっているじゃない。 “さくらさん“がおばあちゃんの財布をかばんに入れたまま持って返っちゃったのね。 いつもピンクの服を着ている“さくらさん“。 正義感が強くて、でも少し抜けているところがある、そんな誰からも愛される魅力を持った“さくらさん”。 そんな“さくらさん”のことを思い出して、私は懐かしい思いで胸がいっぱいだった。 私は、こみあげるものを抑えて、一つ大きな深呼吸をした。 そして、電話に向かって、 「それでしたら、もう20分程駅前のベンチに座って待っていればきっと見つかると想いますよ」 と言い残して電話を切った。 そして別の電話番号をプッシュし、電話を掛けた。 「もしもし、さくらおばあちゃん。私、美沙だけど。」
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