回想

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私は小学校を終え中学校、そして高校と進学したが、祖母離れが進むことはなく、祖母と遊び続けた。私は祖母から多くのことを学び、その中でも裁縫を好んだ。 そのため、私が裁縫の専門学校に行くために実家を離れなければいけなくなった時の私の悲しみは深かった。祖母と離れて暮らすだなんて!一人暮らしの準備をしている間にも常にその不安はつきまとった。別れ際、祖母に「これからはおばあちゃん離れしないとね。頼れる女の子になってね」と言われたが、成長した私が祖母を先導して歩く姿は全く想像できなかった。 そんな不安だらけでスタートした専門学校生活だったが、思いの外忙しく、ホームシックにかかっている暇もなく、一年が過ぎ去ろうとしていた。それなりに友達もできた私は一人暮らしにも次第に慣れ、祖母離れした頼れる女の子になりなさい、という祖母の言葉も頭から抜け落ちていった。
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