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流れでOKしてしまったけど、これはなかなか凄いことなのでは?
そんなことを思った。
やっぱり断ろうかな。いや、でもそれじゃあ私が美優梨さんに距離置いてるみたいだし……
それに、今日美優梨さんとちゃんと寝られたら、私は「みゆねぇ」を卒業できる気がする。
だから、と、私は美優梨さんの招くままに、布団の中にお邪魔した。
お邪魔したら、予想の三倍は心臓がうるさくなった。
美優梨さんの柔らかさや、温かさや、匂いが、あまりにも昔と同じで、私の鼓動を狂ったように早くさせる。
これ、聞こえてたりしないかな。
「彩ちゃんさ、昔よりずっと大きくなったよね。」
美優梨さんは、思ったより普通のことを話す。もしかしたら、あのことはもう、覚えていないのかもしれない。
そりゃあ、十年もたってるから……というのは、口では伝えられず、目を合わせないまま頷く。
「ねぇ、もっとこっち来て。」
私は、身構えそうになるのを堪えながら、肩を動かして身を寄せる。
ああ、また鼓動が早くなる。
「おやすみ」
美優梨さんは、天井を見ながら、囁く。
「おやすみなさい」
私は、首が痛くなるほど俯いていたそのままの姿勢で、聞こえるか聞こえないかのか細い声を出す。
その後、私がずっと寝付けないでいると、しばらくして美優梨さんの寝息が聞こえてきた。
私は、もうちょっと体を近づける。
その夜は、それだけだった。
代わりに、その日の夢で、「子どもの私」はみゆねぇとあの行為をした。
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