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「おやすみなさい、美優梨さん。」
寝る前にはいつも、ちゃんと挨拶する。
こういう挨拶は大事だ。定型化されているから、緊張せず美優梨さんと話せる。緊張せず話せた時は、ちょっと上手くやれている感じがして、気分が良くなる。
「おやすみ、彩ちゃん……」
私は美優梨さんの部屋の前を去って、向かいの自分の部屋へ向かう。
ああ、今日も頑張ったなって思って、自分のベッドへ歩き出す。
でも、そこで、
「あ、待って彩ちゃん。」
そう言って、美優梨さんに呼び止められた。
「な、なんですか?」
不意打ちだった。
完全にoffに向かって動きを弛め始めていた私の脳のタービンが、再稼働し出す。
「あのね、彩ちゃん。良かったらだけど、一緒の布団で寝てみない?」
「……はぁ。良いですけど。」
「うん。じゃあ枕持ってきたらまたこの部屋に来てね。」
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