5人が本棚に入れています
本棚に追加
「単刀直入に聞く。さっきこの生徒会室の窓から見えた女の子は、お前の彼女か?」
「女の子?」
「柴山先輩でも末永先輩でもないぞ。別の女子だ」
「…………」
どんな返答が来ようが、俺は引くつもりはなかった。こんな睡眠と同化してるような奴に、女の子を幸せに出来るとはとても思えない。
(さぁ、どう出る?)
「……あぁ。それ、おれだ」
「へ?」
「そういえば先週、女装してる時に、サッカー部の奴に飛んできたボール渡してた。あれ、アンタだったような気がする」
「え、え……?」
「生徒会メンバーでトランプやって、罰ゲームで女装して歩き回ってたのよね」
「つうか何で女装のまま窓閉めてんだよ」
「着替えるのめんどくさくて」
「お前もう少し男子としてのプライド持てよ」
「あら、わたしは結構好きよ。根室君の女装」
「小百合、この前それで矢追にぐちぐち言われたんだよ? 生徒会の自覚が足りないだの面目丸つぶれだの」
「それは顧問としての建前よ。実際のところ、矢追先生も気に入ってたみたいよ。あの人、実は腐女子だしね。男の娘とかも大好物みたいよ」
「え、マジで? 腐女子みたいな名前だとは思ってたけど」
「腐女子って何すか?」
「え、根室君知らないの? 今度、妹が持ってるBL漫画貸してあげようか」
「小百合、止めとけ。いくら根室でもそれは」
「あぁ、それなら姉ちゃんも持ってますよ」
「持ってるんかい」
「…………」
俺の一週間の初恋は、こうして儚く散った。
最初のコメントを投稿しよう!