生徒会室のあの子に会いたい(生徒会室シリーズ2)

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「単刀直入に聞く。さっきこの生徒会室の窓から見えた女の子は、お前の彼女か?」 「女の子?」 「柴山先輩でも末永先輩でもないぞ。別の女子だ」 「…………」  どんな返答が来ようが、俺は引くつもりはなかった。こんな睡眠と同化してるような奴に、女の子を幸せに出来るとはとても思えない。 (さぁ、どう出る?) 「……あぁ。それ、おれだ」 「へ?」 「そういえば先週、女装してる時に、サッカー部の奴に飛んできたボール渡してた。あれ、アンタだったような気がする」 「え、え……?」 「生徒会メンバーでトランプやって、罰ゲームで女装して歩き回ってたのよね」 「つうか何で女装のまま窓閉めてんだよ」 「着替えるのめんどくさくて」 「お前もう少し男子としてのプライド持てよ」 「あら、わたしは結構好きよ。根室君の女装」 「小百合、この前それで矢追(やおい)にぐちぐち言われたんだよ? 生徒会の自覚が足りないだの面目丸つぶれだの」 「それは顧問としての建前よ。実際のところ、矢追先生も気に入ってたみたいよ。あの人、実は腐女子だしね。男の娘とかも大好物みたいよ」 「え、マジで? 腐女子みたいな名前だとは思ってたけど」 「腐女子って何すか?」 「え、根室君知らないの? 今度、妹が持ってるBL漫画貸してあげようか」 「小百合、止めとけ。いくら根室でもそれは」 「あぁ、それなら姉ちゃんも持ってますよ」 「持ってるんかい」 「…………」  俺の一週間の初恋は、こうして儚く散った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加