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「……お前、まさかそれを聞くためにボールにダイブしたんじゃないだろうな?」
「俺ってそこまで信用されてないの!?」
「結論から言えば、そんな生徒はいないよ。保健室登校の生徒って、大体はブサイクばっかだし」
「保健室登校の生徒に謝れ!! 美人もいるかもしれないだろ!!」
「あのな……病弱で不登校気味の美少女なんてフィクションの特権なんだよ。大体うちの県はドブスランキングのトップ10にランクインしてるし」
「それバラエティー番組とかが勝手に作ったランキングだよな!?」
そもそも、ブサイクというのは姉の好みの話だ。面食いの姉からしたら九割はブサイクなのだから理不尽な話だ。
ちなみに俺もブサイクだと認識されているが、一般的にはフツメンだと思っている。というか思いたい。
「先生が知らないだけで、もしかしたらずっと不登校の生徒がいるのかも……」
「生憎、不登校の生徒の顔は全員把握してるよ。いつ登校してくるか分からないしな」
「そっか……」
「あ、もしかして……」
「何か分かったのか!?」
「イマジナリーフレンドとか?」
「何真面目な顔で答えてんだよ。空想の想い人を作るほど俺は欲求不満じゃねぇよ」
「幻覚は見てるけどな」
「だから幻覚じゃないんだって!!」
「ちなみにさ、その窓ってどこの教室のか分かる?」
「えっと……」
校舎なんて普段意識してみないから、どの窓がどの教室かなんていちいち覚えていない。大体、あの辺りがあの教室なのかなと思う程度だ。
それでも、あそこが何の教室なのかは知っている。
だからこそ、不思議な話だった。
「二階の一番端にある窓だ。東の方の」
「それ、生徒会室じゃん」
「いや、それは分かるよ。分かるけど……」
現生徒会メンバーの内女子は二人。3年の柴山紀子と末永小百合だ。。
そもそも、クラスメイト兼友人の蝉川巧から生徒会の話を聞くが、あの女好きのタラシ野郎が、あれほどの美少女の存在を少しも語らないはずがない。
「いや、美しさのあまりに隠されてるとか……?」
「お前の頭の中で一体何が始まってんだよ。やっぱ頭診てもらったら?」
「結局そこに行き着くのかよ!?」
***
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