最後の日

　私は自分が欲のない人間だと思う。
　とはいえ、あれがしたいこれが欲しいなどということがないわけではない。
　一日中寝ていたいと思う時もあるし、食べるならできるだけおいしいものを食べたいとも思う。
　世間は今巨大な隕石が発見されて三年後に地球は滅亡するなんて騒がれてるけど、私からしたら「はい、そうですか」くらいにしか思はない。
　結局いつか死ぬんだし、死因が隕石による衝突の余波？になるだけだ。それでも死ぬんだったら痛みとか感じずに楽に死にたいとは思う。
　ともかく、地球が滅亡すると言われても私がすることは変わらない。一般人である私にできることなんか何もない。
　学校に行って勉強して、帰って寝て起きてまた学校に行く。結局これの繰り返しだ。

　滅亡まで残り一年にもなると世界中が騒がしくなってきた。
　テレビでは大体どこも隕石の事で持ち切りだ。それに何といっても犯罪だ。やはりというか滅亡するなら何でもやっていいと思う輩がいて、殺人、盗み、強姦が多くなってきており、これも毎日何かしらニュースで取り上げられている。
　とはいえ私もちょっとなげやりな感じになってきているのは否めないだろう。結局専門学校を卒業した後はフリーターだし、一人暮らしだからと少しは気を使ってあまり浪費しないように生活してきたが最近は出費が多くなっている。
　だからだろうか私は特にインターフォンを確認もせずにドアを開けてしまったのは。
　私が最後に見たのは男がこちらにナイフをむけている姿だった。