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帰国
私は職場復帰して、ばりばり働いていた。
蘭ちゃんは、近所の天野さんが面倒見てくれた。だから気にせず、働いた。
私は認められている。
それが嬉しくて。
でも、調子に乗ってた。
この仕事は、簡単なものではない…というのを忘れてしまっていた。
ある日、女優さんにマスクの型をとるため作業をしていた。時間を置いて剥がすつもりが、ほかの作業をしていて忘れていた。
慌ててとったら、肌は荒れて捲れ上がった。
彼女は、主演女優だというのに。
私は解雇された。
でもミナキには言えなくて。
そんなとき、ミナキの会社の社長さんが仕事を紹介してくれた。日本のモデル事務所ではあったが…。私はその話に飛びついた。
ミナキに、迷惑かけたくなくて…。
私の気持ちが落ち着くまで、という約束で日本で働くこととなった。
ミナキが海外に仕事に行っている間に、蘭ちゃんと共に日本へ帰った。
うちの親には、子供いることも言ってなかった。実家に帰ると、蘭ちゃんのことを大喜びしたが、私は責められた。
でも、ミナキはいつも真剣に仕事してるのに、私は…。その意識の違いに、どうしようもなく逃げたくなった。私は、生半可な気持ちで仕事していたから。
「ゆとくんと会えなくて寂しい」
蘭ちゃんは、とても寂しがっていた。悪いことしたなぁ…でも、そうするしかなくて。
「ごめんね、蘭ちゃん…」
あー、私はなんてやつだ。
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