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2話 草案
2話 草案
「昔の君って、あんたもうおっさんじゃねえか。おれまだ17だぞ。さすがに騙されねえよ。」
「わはははは、手厳しいツッコミだな」
「わははははじゃねえよ、いったい何者なんだ、そもそもどうやってここに入ってきた? よく見たら窓も開いてねえし、めちゃくちゃ高度な技術持った新手の泥棒か何かか?」
「オー凄い質問攻めだな、わかったわかった。話そう。」
「・・・・・これは深く暗い悲しみに包まれた物語だ。なぜ2回りも年下の青年に対し、私は昔の君だといったのだろう。なぜ私は窓を破らずとも部屋に入ってこれているのだろう。そもそも目的は何なのだろう。私はいったい何者なのだろう。・・・・・続く」
「いや続けろや」
コウさすがにこの謎の男にしびれを切らし、ドロップキックをかます。謎の男余裕でかわす。
「わははは、からかいがいのある男だな。まあそのうち分かることだ。今話しても長くなるから横に置いとけ。危害を加えるものではないとだけ言っておこう。」
「チッ(コウ着地に失敗し痛む)」
「君の時間に対する着眼は悪くない、なにに気づいたんだ言ってみろ」
「俺もまだよく整理できてないんだけどよ、時間って未来から現在、直感的に想像するのと逆方向にも流れてるんじゃないかなって思ったんだよな。」
「ほう、というと」
「たとえば今日学校から家に帰ってきたとき、俺はグレープジュースを飲む、正確には食後に部屋で飲むという未来を決めた。そしてその未来を成立させるために、過去ではそれがかなうような発言をしたり、食事中には飲まないという選択をしたりした。さすがに知らんおじさんが出てきて、半分こぼすという未来は想像できなかったけどな。」
「たしかに、過去や現在に起こったことによって未来が変化するというのが直感的にわかりやすい。しかし、今回の場合は私に出会ってからの出来事を除いて、固着した未来を実現させるために過去現在が動いて、変化していたように思う。これはどういうことなんだろうな」
「たしかに、よく分からん」
「それにこれが生きている間だけの話ならまだ単純なんだけどな・・・(小声)」
「なんか言ったか?」
「いやなにも(今はまだね)」
「(ハッ、話に付き合っちまった。)おい、アンタ謎すぎんだよ。害加えないって言ってたけど、結局目的は何なんだ目的はよ」
「ふー、そんなに答え答え言うなよもっと考えようぜ。まあ教えるけど。」
「(いや道の男に対する反応としてはまあ正常だろうがよ)」
「ズバリ君は進路に迷っているだろう」
「え、これが進路に関係あるのか?」
「さあ知らん、さっき迷ってるの見たから笑」
「゛あっ」
「コウ、何かあったの?」
母が様子を見に来たみたいだ。
「あー、大丈夫だよ、ジュースこぼしちゃっただけ」
俺もよくわかっていないのに説明のしようがないし、パニックでも起こされたら面倒だ。それに何かヒントを与えてくれようとしている気がする。
「で、結局目的は・・・」
「(消えやがった。なんなんだあいつ。)」
おそらくいい反応は返ってこないだろうけど、昨日思ったことをユウにはなしてみよう。進路希望の話も聞いてみよう。・・・・・
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