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一体だれ?
サプライズはネタバレしてしまったものの、だからといって誘われない理由にも断る理由にもならず、私と有紗は放課後のチャイムが鳴るや否や、勢いよく教室を飛び出した。
もうバレたんだから教えてよ、と私が問い詰めると彼女はしぶしぶ白状してくれて、どうやら中学の時に仲が良かったメンバーを集めて1日早い私の誕生日パーティーを企画してくれていたという。
「ごめーん花蓮! サプライズのこと言っちゃって! お願いだからみんなには黙ってて!」
「わかってるって。だからそんな泣きそうな顔しないでよ」
昇降口へと向かう途中、階段の踊り場で必死に謝罪してくる有紗とは反対に、私はクスクスと笑いながら答えた。ちょっと天然の有沙とは違って、まあ私なら知らなかったフリをしてその場を乗り切れる自信はある。
さてどんなリアクションをしようかな、と一人考えながら浮き立つ足で階段を下りようとした時、足元を見ていなかったせいで踏み出した右足が空を蹴る。
しまった!
思わず心の中で叫ぶも時すでに遅く、バランスを崩し始めた私の身体は言うことを聞かずに宙へと投げ出されそうになる。
その恐怖に思わず目を瞑った時、間一髪のところで後ろから右手首を掴まれた。そして私はそのまま踊り場で尻餅をつく。
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