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渡された地図を頼りに新しい家まで向かう。
穏やかな街並みと暖かい日差しが、なんだか懐かしさすら連想させる。
気分がいいのもあってか、サクサクと道を見つけて進むことが出来る。
目的の場所に到着し、建物を確認する。
確認した瞬間陽気な気分から一転して、私は戦慄した。
なんで、どうして。
どうして私は気付けなかったのだろう。
道を見つけるのが簡単だったのは、気分がいいからじゃない。
昔通った事があるからだ。
これは、【彼女】が住んでいたアパートだ。
そして、家具が全て残っているとは、つまりそういうことではないか。
私は、まだ【彼女】の死から逃れられない。
そう感じながら、管理会社から渡された鍵で103号室のドアを開けた。
数分前とは一転、足取りは重たくなっていた。
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