人が神を越えるとき

【エピローグ】

「はい、こちら管理課動物係です。」
「植物係ですが、鹿の増殖過多で森の再生が遅れてるんですが…」

「地震、予定より早いじゃないですか。」
「しょうがないだろう、これ以上プレート押さえたら、あっちの山が爆発しちゃうんだから。」

　連携を取り合う神通力の声が響き渡る、株式会社 神様 のオフィス。

　神の世界は最近急速に変わった。人の上に立ち支配することから脱却し、今では人の作り上げたものから学ぶようになった。

　あの時、平凡神(へいぼんのかみ)が禁じ手と知りながら強行した神通力の演説。それに神々は気付かされ、変わることを決めた。

　その一方で、神の祖業を知った”人”の心は、神々との間に大きな隔たりを作った。

　自然の再生と科学の発展を進めた”人”は、ついに神すらなしえなかった時空超越術 ― タイムマシーンを作り上げた。

　いよいよ、人が神を越えたのだ。

　その知らせを以て、株式会社神様 では、新たなプロジェクトが立ち上げられた。人と神の間に出来てしまった隔たりを取り払う為に。

　このプロジェクトで、平凡神が再び人の世へと送られる。

プロジェクト 愛
　第一段　～ 神と人 愛の育み ～

　たった一人で未来を背負い、過去を変えた英雄。天下 実子(てんか みのこ)と、平凡神(へいぼんのかみ)が再会する。