紅葉

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  ♪秋の夕日に照る山 紅葉 濃いも薄いも数ある中に 松を彩る (かえで)やつたは 山のふもとの 裾模様♪ 童謡の「紅葉(もみじ)」という歌。 実は、[紅葉=もみじ=楓≠紅葉]。 ややこしいんだけど、『紅葉』は、『もみじ』とも読む。 『(かえで)』は厳密にいうと分類上ささやかに『もみじ』とは違うのだけど、紅葉という意味で使われている。 (もみじと楓の些細な違いを分けているのは日本人だけ) そして、『紅葉(こうよう)』は、葉っぱの彩が替わる様子。 「紅葉する」を、「もみじする」とは言わない。 他に『黄葉(こうよう)褐葉(かつよう)(褐色になる)』という言葉もある。 紅葉は、日本だけの現象だろうか。 実は紅葉するのは落葉広葉樹だけ。 落葉広葉樹というのは、冬季または乾季に幅の広い葉を落とす木のこと。 これは、東アジアやヨーロッパの一部、北アメリカの東部に限られている現象だ。 だから、紅葉がみられること自体が貴重なことなのだ。 その中でも、特に日本の紅葉が美しいと言われるのはなぜか。 落葉広葉樹の種類は、日本で26種類。 ヨーロッパで13種類、紅葉が有名なカナダでも同じく13種類だ。 紅葉する木の種類が多いということは、それだけ色の種類も多くなるということになる。 また、海外ではいろんな色が混ざって紅葉するより、赤なら赤だけ、黄色なら黄色だけ、という風に単色で紅葉する場合が多い。 これが日本の紅葉を世界一美しく見せる理由である。 さらに、その年の気候や葉の水分量によっても葉の色が変わる。 同じ木でも、その年によって違う色合いになり、日照の具合によっても色が変わる。 赤、朱、紅、と同じ『あか』でも大きく変わるのだ。 落葉樹が日本に多いのは、氷河期に日本列島で広葉樹が生き延びたから。 日本では暖かい海岸線やその地形に守られ、多種多様な落葉広葉樹が生き残ることができた。 季節の境目。彩の境目。そんな境目を多く持つのが日本なのかもしれない。  
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