それが雹でも霰でも

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 薄々、なんか外が暗いなとは思っていた。  思っていたけどさ。  まさかこんな街中に、雨を越えて(ひょう)が降ってくるだなんて思わないでしょ!?  「何よコレ~っ」  もう先勝だとか、そんなレベルの問題ではない。  私に何か悪霊でも取り憑いてるのかもしれい。  そんなオカルトさえ信じてしまいそうな精神状態で、とにかく体に当るこの痛いモノから逃げなければと必死に周りを見渡した。  「あ……っ」  目についたのは、30メートルほど先にある古書店。  いや、正確にはもう閉店してしまった古書店の軒下だ。  お店を閉じて数年経つが、当時のままの姿でまだその店はあった。  中学生の頃から通っていたそこは、不思議な雰囲気のおじさんが1人で経営している謎なお店だった。  利益があるのかよく分からない値段設定の古書に、思わず「儲けているんですか?」と学生ながらに聞いてしまうような。  そんな店が目にとまり、迷わず小走りで向かう。    「おっちゃん、場所借りるね。ごめん」  おっちゃんと砕けて呼んでいたけれど、もう今はいない。
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