それが雹でも霰でも

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 言われてみて、同じように目の前に視線を向けるとまだまだ跳ねる白い粒。  ところどころ跳ねて足に当ってくるのを小さく避けている状況が、まだ続いている。  こんな攻防を1人で続けていたら、本当に最悪の一日に違いなかった。  でも今は、雲井さんがほんの少しだけ私の気持ちを軽くさせてくれている。  「すみません。俺なんかが横に来たばかりに、落ち着かないですよね」  本気で申し訳なさそうな顔してそういうので、小さく両手を振ってそんなことないですよと伝えた。  むしろ心中では真逆のコトを考えていたくらいだ。  なんとなく話題を変えたくなって、強引に質問をしてみた。  彼が来る直前まで思い出していた、この店のことを……    「このお店、ご存じですか?」  「え? あぁ、はい俺も結構利用してたので知ってます」    今は閉店してがらんどうの店内を指さしながら尋ねると、意外にも知っていると返事が来てにわかに嬉しくなった。  予想外の返答に、思わずテンションも上がる。  まさかこんな古めかしい古本屋を知っている人がいて、ましてや利用していただなんて嬉しすぎる。  これまで同級生にも幾度か紹介したけれど、こんな古書店に通う女友達は全くいなかった。  もちろん男友達も。  それが今になって出会えた小さな奇跡に、なんだかほっこりとする。  「嬉しいです。良かったぁ」
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