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彼女と同居を始めてからもうすぐ2年になる。
初めは距離感がうまく掴めなくて、お互いにぎくしゃくしていたこともあった。
近づくと逃げたがる君は、いつも僕の欲求をするりと躱す。
そんな時、僕は少し君を憎らしく思うけれど、それでも君が可愛いと思うから仕方がない。
今日も手を伸ばすとプイとそっぽを向く。
強引に抱きしめてやろうかと思うけれど、優しい僕は今日もそんな君を許してしまう。
君の小さな手に、僕はいつも転がされている。
悔しいけれど、好きになった方が負けだ。
でも――
「あ……」
これだけは、許せない。
君だって知っているだろう?
僕は、プリンが大好きなんだってことを。
なのに、どうして食べたの?
最後の一口。
それが楽しみで、トイレから出てきたのに。
酷いじゃないか、僕の楽しみを奪うだなんて。
「ミーナ」
たまらず漏れた低い声に、彼女がビクリと体を震わせた。
きっとしまったと思っているに違いない。
思っているくせに、そんな感情を欠片も見せずに僕から視線を逸らす。
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