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そんな態度、僕は許したりしない。
こればかりは、君を許してあげないよ?
空になったカップを捨てて、倒れたまま放置されているスプーンを流しに放り込んだ。
それでも最後の一口を食べられなかったモヤモヤが、胸の内でふつふつしていて収まらない。
これで最後と思っているものを突然奪われたときのもやもやは、解消するのが難しいんだ。
代替で効かないところが怖い。そうだろう?
無言のままソファーに座ってテレビをつけた。
見るとはなしに切り替わる映像をぼんやりと見つめていたら、彼女がゆっくりと近づいてくる気配がする。
一歩一歩、足場を確認するような丁寧さで、確実に僕までの距離を詰めてくる。
チラと視線を彼女の足元に移すと、また僕への距離を縮めてきた。
それでも君を見ないふりを続けてテレビへ視線を向けると、とん、と軽やかな音を立てて僕の左隣に座った。
そっと凭れてくる体温が、僕より少し温かい。
左腕に頬を摺り寄せて、すりすりと音を立てる。
それだけで、怒っていたはずの僕の心は、呆気なく君を許しそうになるからいただけない。
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