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今日だけは意を決してもう少し許さないでいよう。
改めて、ツンと右側を向くと、ハッとした様子で見上げてくる気配がした。
きっと君は、なんでって顔をしているのだろうか。
見えていないけれど、想像するとちょっと笑えてくる。
服の袖を無言で引っ張るけれど、それも無視するとしばらく動きを見せない。
さぁ、どう来る?
と思っていたら、左手を取ってぺろりと舐められた。
「……っ。それ、反則でしょ」
言っても聞かない彼女は、そのまま僕の左手に頬を摺り寄せてくる。
――はぁ……今日も降参、かな。
好き放題されていた左手をくるりと返して、君の喉元を優しく撫でる。
くすぐったそうに、でも嬉しそうにするから。
右を向いていた僕の体も、いつの間にか君の方を向いていた。
「もういいよ。おいで?」
呼びかけると
「にゃぁ」
ようやく返事をして、ミーナが嬉しそうに膝に乗る。
すりすりとお腹の辺りに顔をこすりつけてくるから、右手で頭を撫でると嫌がられた。
「なんで右手はダメなんだよお前」
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