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早弁の加賀くん
おじいちゃん先生の古典の授業。
それは加賀くんの早弁の時間。
「いただきます」
(今日も食べてるなあ……)
小さく手を合わせてからもくもくとご飯を食べる隣の席の加賀くん。
彼を見てると授業ってなんだろう? って思うくらい感覚がズレていく。
その間も続くおじいちゃん先生の授業は子守唄のようで、一生懸命あくびを噛み殺しながらノートをとる。
(あ、ここテストに出るのか)
分かりやすいようにマーカーを引いて教科書とにらめっこする。
その間にも加賀くんはもくもくとお弁当を食べていて思わず吹き出しそうになる。
(アンバランスだなあ)
でも不思議とこのアンバランスさが気に入っていてこの時間を楽しみにしてる自分がいる。
横顔をちらりと見てみれば幸せそうに食事をとる加賀くんがいてこちらもお腹がすいてくる。
――今日は何を食べようかな。
学食のメニューを思い浮かべながら黒板に目を向けた。
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