ショートコント『文房具貸し』

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ショートコント『文房具貸し』 女(どーしよ……消しゴムないわ) 男(あいつ、消しゴム忘れちゃってら) 男は手を挙げた。試験監督の教師が駆けよる。 男「あの……消しゴム、渡してやってくれえませんか」 教師「断る」 男「えっ」 教師「なんで、お前らのキューピッドにならにゃならん」 男「そんなんじゃないですって、俺はアイツのただの幼馴染ですよ」 男は柔らかな笑みを浮かべる。場を保つためだ。 教師「定番のやつじゃないか」 男「定番の奴ってなんスカ。もしかして、幼馴染いないんすか」 教師「俺にも居ったわ。保育園の時、ハグしあう仲の女子とか」 男「本当は?」 教師「それきりや!」 男「それきりて」 教師「それにな、俺は生徒のためには受験と就職、勉強関係にしか動かんと決めてる」 男「ちょっと、勘弁してくださいよー。教師としてどうなんすか」 教師「知ってんねんぞ、お前ら、俺が電車乗ってるとき、痴漢扱いしやがったろ。あん時、デマって分かったから良かったものの、下手すりゃ冤罪でお縄やぞ。うんでな、Twitterで検索したら、お前ら俺嵌めて担任クビにする気満々やったそうやないか」 男「それ何年前の話ですか……」 教師「3年前や」 男「ドンだけ昔やねん。それに先生、俺らの担任ちゃうでしょ」 教師「カンケーない!それ以来、俺は生徒に隷従しないと決めた」 男「消しゴム渡すだけでしょ。はよあの子に渡してやってください。受験勉強関係でしょ。もう、あの子指の腹でこすってますよ」 教師「ならん。これは不純異性交遊や」 男「もう、どんだけやねん。これ終わったら、校長先生に言いつけますからね」 教師「ふざけろ。お前は一介の生徒、俺は教務主任やぞ。どっちが信頼あると思う」 男「断然、生徒でしょ」 チャイムが鳴り響く。 男「もー、試験終わっちゃったじゃないすか。これもう、教師の試験妨害として言いつけますからね」 男は答案を不本意ながら提出した後、去って言った。 教師「これだから、生徒は嫌いなんだ」
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