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…火曜日。
「…はぁ。」
──今日は親睦会と言う、楽しいハズのイベントの2日目。
…だと言うのにわたしは、溜め息と共に机に鞄を下ろした。
「え、絵美さん…?どうされたのですか?」
…ぁあ、駄目だ。相棒を心配させちゃってる…。
…でも駄目なんだ。昨日から頭の中がぐるぐるして、訳が分からなくなってる…。
「…ねぇ笑。」
「はい、何でしょうか絵美さん♡」
「…わたし達、このままで良いのかなぁ…?」
「…成程。昨日のことを気にされているのですね。」
「…私は、昨日も申し上げたように、このままでも良いと思っていますよ。」
「…。」
わたしもそうは思っている。…けれどそう思い切れない何かが、引っ掛かる何かが、胸の奥にあるんだ…。
「…まぁ、絵美さんが昨日見たお2人のようになりたいのでしたら、私も吝かではありませんが。」
「えっ?」
「…貴女はどうしたいのですか?絵美さん。どんな答えでも、私は構いません♡」
「わたしは…分からない……。」
「…変わりたいのも変わりたくないのも両方あるんだよ…。どっちかになんて決められないよ…。」
「…では、決めなくても良い関係を築くと言うのはどうでしょう?」
「…決めなくても良い関係?」
「何時でも変われる、けれど変わらなくても良いかも知れない関係です♡」
「…ふ、ふふっ…♪」
「おや、絵美さんの妙なツボに入ってしまいましたか♪」
「…ありがとう笑。…それと、これからもよろしくね。」
「はい♡」
「急に変わっちゃうかも知れないし、ずっと変わらないかも知れないけど…それでもよろしくね♪」
「はい♡
…こちらこそ、宜しくお願いします♪」
…と言うところで、笑がちらりと教室の時計を見た。そろそろ朝のHRの時間だ。
「…厳しいことを言うようですが、まだ“親睦会”は始まったばかりです。
いちいち周りを気にしていては何か大切なものを見失ってしまうかも知れませんよ?」
「うっ…」
「…ふふ♪今日も含めて残り9日間。
色んなカップルがいることでしょう。…きっと、私達のようなカップルも何処かにいるのです。
──きっとこの学校は、世界は。
どんなカップルがいても良いのです…♡」
「…笑、何か悟ってるんですけど。」
「あははは。良く言われます。『と言っても妹にですが。』
笑の口癖を先読みして、何となく物真似してみる♪
「あはははー♡こうしてハモってると白樺姉妹のようですね〜♪」
白樺姉妹『呼んだかしら!?』
先輩「何この子達!?双子!?かわいい〜〜♡」
見知らぬ先輩が白樺姉妹をブロック、もとい抱き締めた…。
『ちょっと、放しなさいよ〜!?!?』
──等と何時もより騒がしい教室に先生が来て、HRが始まる…。
──女子科のクラスは全部で6クラス、つまり組み合わせは1つのクラスにつき5通り。
親睦会は1クラスと2日間続く。…つまり今日も2ー4との合同授業って訳だ…。
「はぁ…。」
何かもう、慣れちゃったなぁ…。
先生の説明に依ると、1日目が通常授業+デート授業。2日目は通常授業+パーティー。と言うことらしい。
──ただし、今回のパーティーはそれこそ運動会のように大規模なものとなるらしい。
…ちょっとそこは興味あるかも?
…まぁ、大勢より笑と2人でいた方が楽しいってのはあるんだけどね…。
──その日常が戻って来るまでは、この何時もより少し騒がしい日常を楽しむとしよう…♪
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