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「大きな瞳と長い睫毛!色白できめ細やかな肌!絹糸みたいなツヤツヤの髪!スラリと高い背!細い割にしっかりとある胸と腰!しかも頭が良くて仕事が出来る!!これでモテないなんておかしい!!周りの男の目が濁ってるとしか思えない!!!」
「ちょっと、まどか!いくらなんでも褒めすぎ!」
力説しだした彼女の声がだんだん大きくなって、私は恥ずかしさのあまり彼女を落ち着かせようと必死になる。
まどかは、こちらに乗り出していた体もどし、ふぅっと軽く息をついた。
「それにね、ゆっかちゃんは“ハリボテ”なんて言ったけど、それだってゆっかちゃんの努力の賜物でしょ?ゆっかちゃんがそれまでの自分を変えたくて一生懸命頑張ったこと、私ちゃんと覚えてるよ?一緒にお洋服とかお化粧の研究したり、お買い物に行ったり、本当に楽しかった。でもそれ以上に、自分のことはなんでも出来るゆっかちゃんが私に頼ってくれてすごく嬉しかったんだ」
「まどか……」
「外見のことだけじゃいない。勉強だって仕事だって、そう。何にでも一生懸命になれる素敵な女性なんだから、そんなふうに自分を卑下しちゃダメだよ。ゆっかちゃんにお似合いの、素敵な男性が絶対いるの!!」
「………」
そんなふうに私のことを見ていてくれた親友に、思わず目頭が熱くなる。
そんな私にまどかは突拍子もない言葉を投げかけた。
「それともゆっかちゃんはまだあの男のこと引きずってるの?」
「それはないわ」
「良かった。あの男、指導担当の先輩のくせに新入社員のゆっかちゃんを口説き倒しておいて、自分勝手にゆっかちゃん振って、あんなことまで言うなんて!ほんっと、許せない!!」
「………」
まるで自分のことに様に怒りをあらわにするまどかを見ているだけで、私の心がじわりと温まる。
確かに彼が最後に私に投げつけた言葉は、私の胸の奥に刺さったまま抜けない棘になっている。でもそれは彼が言った言葉が事実だから。
私のことを私以上に心配したり怒ったりしてくれるまどかに、これ以上負担は掛けられない。彼女にはもう、私以上に大切にすべき家族がいるのだから。
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