第三章 嵐は突然に

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「青水主任、グループ各社の担当者会議の調整はついているのか?」 「はい。今週金曜日の十三時からで調整済みです」 「都内でうちの商品を取り扱っている店舗の実績、過去三年間のデータが欲しい。今日中に」 「承知しました」 「それと、企画書の第二項にあった―――」 ミーティングルームとプレートの付いた小部屋で、高柳統括を交え、企画発案チームのメンバーとこれからの段取りを打ち合わせていく。 【TohmaBeer-Hopping】のメンバーは、私の他に大澤さんと幾見くんがいる。ちなみに私は一応この企画のリーダーを任された。この企画中での私たちの上司は、統括マネージャーである高柳さんだ。 これから企画を進めるにあたって、このチームには関東エリアの営業から数名と、グループ他社から数名が加わることになっている。 四人でのミーティング中、高柳統括から今後の課題や企画書の見直しなどを指摘される。彼の指摘は鋭くて容赦がない。 ピクリとも緩まない表情の彼に厳しい指摘を受けるのに、一週間経った今でも全然慣れることはなく、仕事中に彼に呼ばれると一瞬固まってしまう。 今日も変わらずその鋼鉄のような表情で私達に幾つもの課題を出し終えた彼は、風のようにミーティングルームを後にしたのだった。
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