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まどかと別れ、自宅のある駅に降りた私は、駅から出た途端頭にポツリと冷たいものが落ちてくるのを感じ、空を見上げた。
さっきまですっかり忘れていた空は、もうすっかり暗くなっている。
『本降りになる前に帰らなきゃ……』
徒歩10分の自宅まで、私は足を速めた。
―――ピカッ
辺りが一瞬明るくなって、しばらくすると『ゴロゴロゴロ』と嫌な音が聞こえてくる。
『うわっ、カミナリ!』
強くなる雨足と鳴り出したカミナリに、私は全速力で駆け出した。
家まであと少しというところで、ザァザァと本降りになった雨。時折聞こえる遠雷が、だんだん近づいているのが光と音の間隔から分かる。
濡れないようにチーズタルトをしまったかばんを胸に抱きかかえながら、水しぶきが跳ね返るのも気にせずに、ひたすら家まで走って帰った。
『ただいまっ!もうやだ、びしょびしょ』
髪から雫がぽたぽたと垂れ、着ている服がじっとりと重たい。
鍵を開けて入った家の中には、母の気配はなかった。
『お母さん、今日も残業か……』
母は早ければこの時間には帰宅しているけれど、大抵残業をしてから帰ってくる。
帰宅する母が、この雨に遭っていないといい。
『お母さんは大丈夫か…』
保険の営業員をしている母は、仕事柄鞄の中に折り畳み傘を常備していると聞いたことがある。
母のことよりもひとまず濡れ鼠状態の自分を何とかしなければと、風呂場へ直行した。
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