第三章 嵐は突然に

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手早くシャワーを浴び、濡れた髪を一つにくくってリビングに行くと、窓の外がまた光った。数秒後に大きな音が鳴り響く。 『ゴロゴロ』から『バリバリ』という感じに変わった音とその感覚の短さに、カミナリがさっきよりも随分近いことが分かる。 カミナリが近付く中、家に一人きりという状態に、私は少しだけ心細くなってきた。 『お母さん……早く帰って来ないかな……』 心細さを埋めるように、声に出して呟いてみる。 『そうだ、メールしてみよう』 鞄に入れっぱなしだった携帯電話を取り出した、ちょうどその時 着信音が鳴り出した。 『うわっ』 驚いて思わず携帯が手から滑り落ちそうになる。 なんとか落下するのを防いで携帯を見ると、そこには知らない番号が。見ると市外局番からの番号から始まっている。 『誰だろう……』 登録していない番号の電話にはあまり出たくない。けれど、市外局番を見ると近隣の市のようなので、もしかしたら大学関係かな、と思い出ることにした。
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