第三章 嵐は突然に

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『はい…』 『青水さんの携帯電話でお間違いありませんか?』 『はい、そうです』 『私は県警察―署の――と申します』 『え、』 “警察”の二文字に体が硬くなる。 (警察の方がなんの用事で―――)そう思った次の瞬間、告げられた言葉に私の頭は真っ白になった。 『え、今なんて……』 自分の耳がおかしいのかと思って、聞き直したその時 カーテンの隙間から眩しいほどの閃光が走る。あまりの眩しさに目を眇めた、と同時に『ドーーンッ』と地響きのような音と振動が来た。 『すみません…カミナリで良く聞こえなくて…今なんて』 何処かに落雷したと思われるほどの雷鳴が鼓膜を振るわせているが、私の耳には電話口から聞こえる警察官の声で埋め尽くされていた。 『青水裕子さんが事故に遭われて、病院に搬送されました』 母が搬送された病院名を告げると、電話はすぐに切られた。 私が携帯電話を握りしめたまま、しばらくその場に立ち尽くしていた。
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